トノの砂金

ある採集家の思考 2015.9〜2017.4 2018.4〜2018.7 2019.1~

成長しない派

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砂金は成長して大きくなるという人もいるが、自分は成長しないと考えている。二つ重なったところに衝撃が加われば、つながるのかもしれないが、大粒砂金のほとんどは最初からその大きさであり、削れて小さくなることはあっても、大きくなることは奇跡のような確率ではないだろうか。振動でくっつくほど寄せ集まった場所を自分はまだ見たことがない。

ただ、大きさは成長しないが、削れ方やサビの付着、砂による研磨など、表面は非常に長い時間をかけて多彩に変化していく。その変化を想像することは、ナゲットを見る大きな楽しみである。

いろいろ注意深く見ていると、元の形は石英が抜けたようなポーラス状のものが多く、たまに、最初からある形(例えばリーフ型など)で生成したのではないかと思えるようなものがある。その後に削れたり、磨かれたり、場合によってはつぶされたり、変形していくように思う。

大きな砂金に多いのは、上は緩やかに膨らみ下は平ら、机にこぼした水滴のような断面の砂金である。このタイプは表と裏がはっきりしている。上の膨らんでいるところの艶は強く、平らな面の艶は劣る。

ボルトなどの鉄くずによるもらいサビの後、削れて溝にはサビが残りつつ磨かれたような砂金もあり、砂金の時間を想像することができる。長い年月をかけて作られた表面は、金鉱石から取り出した金とは明らかに違う砂金ならではの魅力である。