エピローグ

エピローグ

人間の力が及ぶ範囲

殆どの大粒砂金は岩盤上にある。だが、滝壺、大岩、大量の砂利石などに阻まれ、川全体の中で人間がバールとカッチャのみで到達できる岩盤は一部に限られている。また、人のエネルギーと時間には限りがあり、有効な場所にその限られた力を使わなければ大粒砂金には到達できない。大自然の中で人間一人の力は余りにも小さい。そのような困難な状況も大粒狙いの砂金掘りに惹かれた理由の一つである。人間が生身で大自然に挑む状況は登山家とも似ている。採取後の感想も、まずは達成感であり、次に自然への感謝、そして関係した全ての方々への感謝であった。人生で2度とは出会えない超大物であり、自分の手で採取できたことを非常に幸運に思う。

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底形状の想像力

見えない川底の岩盤形状は、周辺観察と予測、掘った後の実際の底形状の検証と周辺の再確認の積み重ねであった。砂金の有無に関わらず、川底形状の目視が想像力の確度を向上させた。両岸が岩盤の場合、川底も岩盤の可能性が高く、惑星直列のように石が並んでいる場合など、人間の届く範囲に底があることや、ヒビの位置を見つけることができた。

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流速の想像力

川の勾配や川幅よりも、満水時の川の断面形状「満水時断面」を常に意識した。両岸の岩の張り出し具合、川底深さを含めた断面が重要。流速はヒビの幅に対する選鉱深さの比に関わり、流速が速く、選鉱深さが深くなりすぎると狭いヒビ以外には残りにくい。満水時断面積が急激に大きくなる部分は重点ポイントと考えていた。

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自然選鉱の想像力

鉄屑、ボルトは太いもの、散弾も直径10㎜以上の大物が残る溝が有望。平石の隙間入りも有望。原理は良くわからないが、垂直部のヒビにまで隙間に平石入りしている場所は椀状に自然選鉱されていた場所が多く結果が良かった。砂金は濁流時に地を這うように動くのではなく、まずは土石と共に浮遊し、土石と共に着陸後選鉱を経てヒビに入ると考えた。台風後に土砂で一旦全て埋まり、その後洗い流され元に戻る水深3mの滝壺もあった。

小さな砂金は小さなヒビ、大きな砂金は大きなヒビ。選鉱深さを考えると大きな砂金は流芯、小さな砂金は川岸という説は実態と合っていた。

 

エネルギーの使い方

腕はすぐに疲れる、足には何倍もの持久力があることに気づくのに半年以上かかった。水の流れのエネルギーをうまく使うことも重要である。流れの強い日に自然の力で堆積を下流に動かせる場所は濁流時に自然選鉱が行われる良いポイントであることも多かった。

 

お世話になった全ての皆様に感謝いたします。

 

※場所の特定につながる記事や写真は削除いたしました。