トノの砂金

ある採集家の思考 2015.9〜2017.4 2018.4〜2018.7 2019.1~

④深場の掘り方1

新シリーズ④<深場の掘り方1>

f:id:tonosakin:20190320210503j:plain

メガネ未経験者がいきなり水深1mの盤上グレインを採取するのはやはり無理と断言できる。まずは水深20センチ位のメガネ掘りに慣れてから徐々に深くしていかなければ難しい。自分の場合はこの徐々に深めていく過程で、深場を掘るときに必要な筋力や煽り方のコツを徐々に自己開発した。

必要な筋力とは、掘るための強い力のことではなく、バランスの保ち方や普段使っていない筋肉を使えるようにしていくこと。難しさや習得過程はスキーと似ている。最初から上手くできる人は居ない。回数をこなし徐々に習得しない限り、カッチャや足で岩盤上を煽れるようにならないし、砂金を見逃さないように煽れない。

そう、深場では掘ることよりも煽ることの方が難しい。手は2つしかなく、メガネ片手カッチャ姿勢でさえ、浮力で長時間のバランスは保てない。バレエのバーレッスンのようにどこかにつかまりながら足を使うしかない。

 

砂金掘り未経験者には、迷わず最初は博物館の体験水槽でのパンニングをお勧めする。砂金の比重や性質を経験するうえで、パンニング体験は欠かせない。習い事は何事もまずは言うとおりにやってみることが大事である。ただ、パンニングは最初は不可欠ではあるが、パンニングの延長線上に大粒は無い、メガネ掘りの延長線上には大粒がある、そう自分は考えていた。

自分の場合、川で初めてパンニングでの採取に成功した次の回に、メガネで覗き砂金を流れの弱い岩盤に置いて砂をかけ、煽って動きを観察したり、カッチャで掬ったりできるかを試みた。そのときは粉金であったので当然掬えなかったが、その後グレインが採れるようになってからも、ゴツゴツした岩盤上では、見えている状態でも0.5gもある粒砂金さえもカッチャでは掬えないことを確信した。

砂と一緒に存在することで掬えることもあるのだが、ヒビの間や既に凹みに入っているグレインは掬えない。砂を煽り見える状態にしてからピンセットやスポイトを使わなければ採取できない。堆積を完全に除去しないままに、暗中模索のように砂ごと掬って砂金を狙う方法も理解していた。しかし煽り見ながら掘っていれば、得られる多くの情報を全く得られないこの暗中模索掘りが、自分は時間を無駄にしているようで好きではなかった。

(2に続く)